消費税の取扱い

消費税の申告が必要な方

対象者と届出書

消費税の申告は、基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超えている方が対象となり、課税対象事業者になります。
新たに課税対象事業者となる場合は、速やかに「消費税課税事業者届出書(基準期間用)」を納税地の所轄税務署に提出します。

基準期間における課税売上高が1,000万以下であっても、特定期間(前年の1月1日から6月30日までの期間)の課税売上高が1,000万円を超える方は、課税対象事業者になります。
この場合は、速やかに「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を納税地の所轄税務署に提出します。

ただし、免税事業者であっても設備投資や大きな仕入がある場合は、課税対象事業者として仕入税額控除を受けた方が有利な場合があります。
このような場合は、「消費税課税事業者選択届出書」を提出して免税事業者から課税対象事業者になることができます。

消費税の経理処理

消費税の記帳の仕方には、税込(コミ)経理方式と税抜(ヌキ)経理方式があります。
事業者が任意に選択することができますが、原則としてすべての取引について同一の方式で経理する必要があります。
※免税事業者の場合は税込経理方式となります。

帳簿や請求書等の記録と保存

消費税は、帳簿や請求書等をもとに課税売上や課税仕入等の金額を把握して、納税する消費税額を計算することになります。
帳簿は法令で定められた記載事項を記録し、請求書等と一緒に原則として7年間保存する必要があります。

帳簿の記載事項は次の通りです。

  1. 取引相手の氏名・名称
  2. 取引年月日
  3. 取引内容
  4. 取引金額
  5. 軽減税率の対象である場合には、その旨の記載

消費税の軽減税率制度の実施

令和元年10月1日から、消費税及び地方消費税を合わせた税率が8%から10%に引き上げられました。また、あわせて軽減税率制度が導入されました。
軽減税率の対象品目は、以下になります。

  1. 酒類及び外食を除く飲食料品
  2. 週2回以上発行される新聞で、定期購読契約により販売するもの

軽減税率8%と標準税率10%の複数税率となったため、仕入税額控除の適用を受けるためには、税率を区分して記帳する必要があります。
また、区分記載請求書等の保存が必要となります。

具体的には、仕訳帳の摘要欄などに、軽減税率か標準税率かがわかるように記号等を記載することとなります。

さらに、令和5年10月1日からは、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入される予定になっています。
この場合は、税率に加えて、税込額と内税額、または税抜額と税額など、税率毎にきちんと税額を判断できる帳簿付けが必要となります。

農業、林業、漁業での簡易課税制度

従来は、「農業・林業・漁業」の取引のうち軽減税率が適用される「飲食料品の譲渡」については、事業区分が第三種事業(みなし仕入れ率:70%)でしたが、令和元年10月1日以降は、第二種事業(みなし仕入れ率:80%)に変更となり、みなし仕入れ率が高くなっています。

飲食料品の販売を中心とする農業や漁業などでは、販売するものは8%ですが、資材や肥料などは10%となり、簡易課税制度ではその差が仕入税額控除できず不利になってしまうことから、80%へと変更されました。

軽減税率対象ではないものを販売する場合は従来通り第三種事業の扱いとなりますので、注意が必要です。


本コンテンツについて

監修

紺野税理士事務所 (山形県鶴岡市)

参考文献・参考資料

国税庁より

  • 帳簿の記帳のしかた(農業所得者用)
  • 令和元年分青色申告決算書(農業所得用)の書き方
  • 令和元年分白色申告者の決算の手引き(農業所得用)
  • 令和元年分収支内訳書(農業所得用)の書き方
  • 令和元年分所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き 損失申告用
  • 番号法施行規則の改正についてのお知らせ
  • はじめてみませんか青色申告(令和3年5月)
  • よくわかる消費税軽減税率制度(令和元年7月)
  • 各種パンフレットなど

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